ども、店長です。
ここ最近同じようなケースで売却時に苦労したことがあったのでお話ししたいと思います。
端的に言うと、
@元々農地(田または畑)だった土地で農地法4条届(もしくは許可)を経て建物を建てました。
A建物を建てる際に金融機関から借入はしませんでした。
B数十年経って、建物もボロボロになったので解体撤去しました。
C更地を売りに出そうと思ったら、地目が農地のままです。
D建物は既に存在しないので宅地への地目変更は認められません。
E農地のままで一般人同士の売買はできない。さぁ、どうする?困った!
というパターンです。
こうなってしまった原因は色々あります。
まず、農地法4条届(もしくは許可)ですが、手続きを終えても 農地法上の農地でなくなるだけです。
地目変更は登記法の管轄で、所有者が行なうことですが強制ではありません。
地目が農地のままでも、課税は現況を見て課税してくるので税収入としては支障が無い為、税法上も何も言ってきません。
唯一口を出してくるとしたら金融機関で借入して土地が担保に入る場合です。
ローンが払ってもらえなくなったら担保を売却して債権回収に当てなければならないので、その場合にスムーズに処理が進むように、金融機関は必ず地目を宅地に変更することを条件に融資を行ないます。
資金に余裕があって借入をしない場合には、金融機関が関わってこないのでそのままスルーしてしまいます。
建物がある内にご相談頂ければ、地目変更は問題なくできますが、壊してしまった後ではさぁ大変。
一昔前だと、建築時に借入してないということは、建物登記もしていないことが多く(融資利用なら建物登記が融資実行の条件になる)、建物が建っていたことの証明が困難な場合も多々あります。
自分で所有し続けている(もしくは相続)のであればそう問題ではありません。
土地の利用上支障があったとしても自己責任ですし。
但し、売買するとなるとそういうわけにもいきません。
そうなると、水道の引込みを確認したり、昔の航空写真を掘り出したり、過去の課税明細を探したり、あの手この手で証拠を集めて、さらには土地家屋調査士の先生のコネも使って登記官と協議して可能性を探っていくことになります。
結構な時間と手間が掛かりますので、それなりの費用も掛かります。
結局、建物が建った時に普通に地目変更しておくのが断然安上がりということになります。
市街化区域内なら、売主で農業委員会に始末書を提出して、買主から改めて農地法5条届出を出してもらうことでクリアすることはできます。
一番問題になるのは 市街化調整区域 の場合!
旧既存宅地であることの証明は登記簿の地目変更記載のみです。
これが出来てないと、まぁ大変!
もしくは開発許可であれば、5条許可を取得しているはずですが、古いものだと農業委員会にも写しが残っていません。
所有者本人が持っているはずの原本が見つからないとかなりヤバいです。
確認申請同様、開発許可も昔は申請だけして完了検査を受けていない場合が多いので、現状建物が無い状態では申請通り利用していたかどうかの証明が困難です。
不動産取引の知識がない一般の方に取っては登記費用をケチったくらいで、先々そんな大変な目に合うとは想像もできないですよね。
自己所有している限りは法的にも問題ないわけですし。
でも実際はご自分、もしくは相続されたご家族が土地を売却しようとする際に、大変な障害 となりますので、やはり土地地目は現況の利用状況に合わせて都度地目変更登記を行なって行くべきです。
田・畑以外の地目は互換性があるというか、正直どうでも良いのですが、田と畑、つまり
農地だけは農地法の制限を受けますので、行政上の届出や許可を取得したら、地目を変更することを忘れないようにして下さい!
今回はかなりマニアックな不動産取引知識でした〜!
では!
JAY