2017年11月10日

不動産詐欺

今年の8月に、不動産犯罪史に残るであろう驚愕の事件が発表されました。
あまりのスケールの大きさにご存じの方も多いかとは思いますが、
その事件とは、「Sハウス 63億円詐欺被害事件」
内容を良くご存知でない方に少し概要をご説明します。

大手ハウスメーカーのSハウスが、
東京の五反田駅まで3分の一等地にある、
旅館の建っていた土地約600坪を70億で買い付けて、
まずは4月に手付金として15億円を支払い、
6月に所有権移転登記の申請の際に48億を支払い、
残りの7億は移転登記が完了した際に支払う予定でした。

実際には、所有者とSハウスの間には不動産会社が介在して契約し、
土地の所有権は所有者からSハウスに直接移転登記する方法がとられました。
(あまり一般的な売買の手法ではありませんが、稀に行われます)

所有権移転申請の時までに合計63億円(15億+48億)が支払われて、
後は登記が完了するのを待つだけの状態だったのですが、
登記の受付をした法務局より、本人確認書類(パスポート)が偽造されている可能性があり、
登記申請は受理出来ないと連絡が入りましたが、もう後の祭り

実は、売主と名乗っていた女性は、所有者とは全くの別人。
偽造パスポートを使って本人に成りすまして契約。
印鑑証明も実印の紛失を理由に別の印鑑を再登録しているので、
司法書士も見抜けなかったみたいです。
(それを見破った法務局もスゴい!)

ニセの売主女性の単独犯では無くて、
おそらく後ろには大きな不動産詐欺集団(地面師集団)がいると思われます。
間に入っていた不動産会社もおそらく共謀者。
なぜなら、登記できなかったのを知って、
当然、Sハウスは間の不動産会社やニセの売主に連絡を取ろうとしましたが、
2者とも一切行方がわからず、間の不動産会社の事務所ももぬけの殻。
もぬけの殻というより、その会社の本社の住所には、
もとからそんな不動産会社の事務所は存在していませんでした。



こんな巨額な詐欺事件は、かなり特殊な案件ですが、
不動産取引をめぐる詐欺事件は、実は数多くあります。

私が入社して間もない今から20年以上に、
今は廃業された不動産会社の社長Sさんから聞いた詐欺事件。

事件が起きたのはバブル真っ只中の平成2〜3年ころ。
土地神話が疑われてもいなかった頃で、
土地の価格が年間で10〜20%以上も上がっていました。

金額は確かではありませんが、確か5,000万円の土地の売買契約があり、
契約時に2割の手付金1,000万円が買主Aさんから売主Bさんに支払われました。
その数日後、その契約を仲介したS社長の会社に1人の男性Dさんが現れ、
「先日、S社長が仲介したBさんの土地は、私も大変気に入っていて、
 どうしても諦めきれないから、売主Bさんから手付倍返しをして、
 損する手付金1,000万円に、更に1,000万円上乗せして7,000万円に出すから、
 私にあの土地を譲ってもらえるよう売主Bさんに話をしくれないでしょうか。」
と申し入れをしました。

手付金は、不動産取引では一般に「解約手付金」との意味合いで取り交わされ、
買主は手付金を放棄さえすれば、無条件で契約を解除でき、
売主は手付金を倍返しさえすれば、無条件で解約を解除できます。
(若干の例外や、手付解除できる期限はありますが)

その内容を売主Bさんに相談すると、
もともとの取引より1,000万円も儲かるとあって、
即、手付を倍返ししてDさんと契約しますと即答されました。
そして売主Bさんは、買主Aさんに手付倍返し分の2,000万円を支払い契約解除。
あとはDさんと7,000万円の売買契約をするだけだったのですが、
なんと、その後、急にDさんとは音信不通に。S社長も懸命に探しましたが、
Dさんの住所はもぬけの殻で、もしやと思ったS社長は、
買主Aさんを訪ねましたが、Aさんの住所も別人宅でした。

つまりもともと買主AとDはグルで、初めから売主Bさんから、
手付倍返しのお金1,000万円を巻き上げるための詐欺だったのです。



幸い、弊社は創業して今まで詐欺に巻き込まれたりしたことは無いのですが、
高額な金銭のやり取りがあるため、詐欺師にも目をつけられやすい業種ですので、
今後も安全な取引をお手伝いできるよういつも細心の注意を心がけてまいります。

あ、余談ですが、冒頭の詐欺にあったハウスメーカーのSハウスですが、
詐欺にあった分を特別損失で経理処理しても、
今期は過去最高売上(1兆円)、最高利益900億円だそうです

posted by U-kai(とも) at 13:05 | Comment(0) | 日記
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